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人事のブレーン社会保険労務士レポート第200号
休業期間が一日に満たない場合の休業手当の額

1.はじめに

雇用調整助成金を申請するにあたり労働基準法第26条による休業手当の支給が必須になってきます。
どれだけ準備をしてもこの休業手当の額を下回っていれば助成金はもらえません。
一労働日全て休業する場合ではなく、一部休業する場合の休業手当については注意が必要で以下解説したいと思います。

2.特定の日だけ所定労働時間が短い場合の休業手当の計算方法

平日の所定労働時間が7時間。土曜日の所定労働時間が5時間。これで一週40時間を達成している場合、平日に休業した場合と土曜日に休業した場合には休業手当の額が同じでいいのかというご質問を受けます。
平日が7時間なのだから土曜日の休業手当の額は7分の5でいいのではないかというものです。
しかし法律では平均賃金の100分の60とされておりますので一日の所定労働時間に関係なく「平均賃金の60%」を支給しなければならないという事になります。
クリニックなどではこの様な勤務になっているケースがありますが取扱いと致しましてはこの様なものとなります。

3.一日の所定労働時間の一部だけ休業する場合

一労働日まるまる休業とすれば計算は簡単なのですが、所定労働時間が8時間の事業場において2時間だけ働いて6時間休業する場合にはどの様にすればいいのか。
労働した2時間の賃金を支払えばいいのではないかというご質問を頂きます。これは間違いとなります。2時間の賃金については現に労働しているわけですから賃金を支給しなければなりません。
ではこの2時間分だけでいいのかというと否であります。
一労働日のうち一部でも労働した場合、労働基準法第26条の休業手当がその労働日の所謂「補償額」となります。ですから現に労働した賃金と労働基準法第26条による休業手当の比較で賃金額が低い場合には、その差額を休業手当として支給する必要があります。
この支給が無ければこの日は休業手当が支払われていないこととなります。

では逆に営業自粛等により時短勤務となり所定労働時間が8時間の会社が1時間だけ休業し7時間を労働して1時間は休業した場合この1時間については休業手当が必要なのかという疑問が生じます。
これも前半でお話しした原則が適用になります。現に労働した賃金額と労働基準法第26条による休業手当と比較し、現に労働した賃金額が多い場合にはその賃金でいいという解釈です。すなはち7時間分の賃金でいいという事です。
あくまで休業手当との比較ですから7時間なら支払わなくいていいという確定はできません。休業手当を計算するにあたり平均賃金を用いますが、これには通勤手当や残業手当を含めて算出されます。
しっかりと比較をして確認をしていただきますようにお願い致します。

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