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人事のブレーン社会保険労務士レポート第188号
企業の体力をつけることが人手不足解消の道筋

1.はじめに

人手不足により経営者は頭を悩ませています。
どうすれば人材を確保できるのか。
どうすれば定着率が上がるのか。

休日数の確保や残業時間の削減をはじめとした労働条件の改善も人手不足の中では思うように進みません。

何から手を付ければいいのか。
この様なご相談が増えています。今回はこの点を掘り下げてみたいと思います。

2.財務の視点が大事な労働条件の向上

大学時代に財務諸表や財務管理論を教えてくださった国津教授の言葉で「長年経理に携わってきたけれども、企業というのは商品力を高めることが大事であるという結論だ」とのことでした。
私も社会人となり経営者として20年以上企業の運営に携わってくると商品力という問題は人事の視点ではなかなかしっくりきません。
労働条件のいい会社とはどの様な会社であるのか。
これは利益率が高いという事です。
言い換えると「一人当たりの客単価が高い」と言えます。

商品力も大事ですが、価格競争に負けない付加価値の高いブランド力が企業経営で最も大事なものであり、経営者である以上、これを目指して実践していかなければならないと思っています。

このブランド力をいかに高めていくのか。

ブランド力によって客単価をいかに上げていくのか。

これが人手不足時代の経営の在り方であろうと思います。

人手不足ですから、無限に仕事をこなすことができません。
採算の合わないお客様との取引をやめたり、不採算部門から撤退したりすることも大切になってきます。

不採算部門や取引先の選別を行い、限られた人材を客単価の高い業務に集中させて、業務量を変えずにいかに売り上げを増やすか。
これが利益率を高める方法です。

また朝早い仕事、夜遅い仕事であっても昼間に同じことができないのかを検討することも大事です。
例えば産業廃棄物処理業者の方が、オフィスの機密書類の処分や資源回収に特化した部署を作り、その部署には土日休みでスーツに近い服装で働くことができる。
機密書類の処分ですから付加価値の高い業務で、採用に関する企業ブランドを向上させることができたという事例もあります。

人材不足だからこそ「捨てるものを捨てる」「何かをすることで客単価を上げる」が重要になります。

労働条件の向上には、財務の視点が欠かせません。

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