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人事のブレーン社会保険労務士レポート第152号
平成28年改正育児介護休業法について

平成28年 育児介護休業法改正について
施行日:平成29年1月1日

1.はじめに

育児介護休業法が改正され、育児休業を取得できる子の範囲の拡大と、期間雇用者の育児休業取得要件の変更がありました。
介護休業についても取得期間の変更と期間雇用者の要件変更等がありました。
以下で掘り下げてみたいと思います。

2.育児休業の変更

(1)対象となる子の範囲の追加

現行法では、育児休業を取得することが出来る子の範囲は実子及び養子縁組した子であります。法律上の子について育児休業が取得することが出来ました。
今回の改正では、この「法律上の子」に加えて、養子縁組に向けて手続きをしている子も対象に追加されました。

具体的には以下の三点です。
1・ 特別養子縁組の成立について家庭裁判所に請求したものであって、労働者が現に監護する者。
2・ 児童福祉法第6条の4第1項に規定する里親である労働者に委託されている児童のうち、当該労働者が養子縁組によって養親となることを希望している者。
3・ これらに準ずる者として厚生労働省令で定めるところにより委託されている者。
(「児童相談所に於いて養子縁組を希望する里親に児童を委託しようとしたが、実親の同意が得られなかったため、養育里親として当該里親に委託されている児童」とされる予定)

(2)期間雇用者の育児休業申し出要件の変更

「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」については変更ありませんが、雇用見込みについて現行法では、「子の一歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれること」及び「子の二歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ更新されないことが明らかでないこと」とされていましたが、この2つの要件がなくなり、改正法では「子が一歳六ヶ月に達する日までに、その労働契約が満了することが明らかでないこと。
ただし、労働契約が更新される場合にあっては、更新後の期間を含む」とされました。
若干要件が緩和されたことになります。

3. 介護休業の変更

(1)介護休業期間の変更

現行法では、介護休業期間は93日となっており、介護休業開始から当該休業期間終了日までを一つの期間として取り扱い、その期間内のみ介護休業が取得できました。
すなわち、一度介護休業期間が開始してしまえば、途中で当該休業が中断した場合でも、開始日より93日が経過してしまえば、その要介護者について再度介護休業を取得することが出来ませんでした。
改正法では、93日という数字は変わりませんが、3回まで分割して取得することが出来ます。また、現行法ではこの93日の中に介護短時間勤務措置も含まれていましたが、改正法では純然たる介護休業のみになりました。

(2)期間雇用者の取得要件の緩和

「同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること」の要件は変わりませんが、「介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日から6ヶ月を経 過する日までにその労働契約が満了することが明らかでないもの。ただし、労働契約が更新される場合にあっては更新後の労働契約」とされ、一年から6ヶ月に短縮をされました。

4. 看護休暇及び介護休暇の半日単位の付与を義務化

現行法では、看護休暇及び介護休暇に関しては一日単位の付与を原則とし、半日単位等の弾力的運用については配慮義務にとどまっていました。
改正法では、労使協定の締結を前提として、以下の半日単位の休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者が追加されます。
具体的には次の通りです。

1・ 業務の性質に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
→国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務

2・ 業務の実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
→労働者が少ない事業場において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務

3・ 業務の性質及び実施体制に照らして、制度の対象とすることが困難と認められる業務
→流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
→交替制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務
→個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な営業業務

5. 介護に関する労働時間の特例

(1)所定労働時間外労働の免除

育児に関する労働時間の特例では、所定労働時間外労働の免除制度がありました。
しかし、介護に関しては現行法では存在せず、改正法にて新設されました。
具体的には「当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者」及び「一週間の所定労働日数が二日以下の者」に該当しない労働者に対して、「一ヶ月以上一年以内の範囲内で、その初日と末日を明らかにして、制限開始予定日の一ヶ月前までに請求」すれば免除になります。

(2)所定労働時間の短縮措置等の改正

現行法では、所定労働時間の短縮措置について、93日の期間内で、介護休業等とあわせて取得する必要がありましたが、介護休業とは期間の通算はされず、3年の範囲内で2回以上の取得が出来るようになりました。
具体的には「短時間勤務制度」「フレックスタイム制」「始業・終業の時刻の繰り上げ、繰り下げ」「介護サービスを利用する場合、労働者が負担する費用を助成する制度その他これに準ずる制度」のうちどれが一つを事業主が選択して実施することとなります。
3年の範囲内で実施し、中断した場合には2回目の取得を認めなければならないとされています。

6. 介護休業給付金の変更

育児休業や介護休業の制度が変われば、雇用保険法による雇用継続給付の制度も変わります。今回の介護休業制度の変更に伴い、介護休業給付金も以下のように変更になりました。
受給資格を判断するみなし被保険者期間ですが、2回目及び3回目の申請について、1回目の時点で受給要件を満たしていれば支給されます。
ただし給付額については、各々の申請時の休業開始時前賃金で計算されます。
4回目以降及び93日を超える介護休業については支給されません。

7. まとめ

今回の改正法は平成29年1月1日に施行されます。
年内に育児介護休業規程の変更が必要になります。
規程内容につきましては現時点では、まだ作成できませんが、今後情報を収集して、メルマガかブログなどでご紹介したいと思っております。

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