同一労働同一賃金の原則—「責任の棚卸し」の重要性—
同一労働同一賃金の原則を考えるうえで、「責任の棚卸し」という視点が非常に重要になります。
たとえば医療機関には、常勤の医師と非常勤の医師がいらっしゃいます。
患者さんを診るという業務そのものは、同じ価値の労働だといえます。
しかし、常勤の医師は目の前の患者さんの治療方針を決定する立場にあり、一方の非常勤の医師はその治療方針に基づいて、目の前の患者さんの診察や治療を行うという役割分担がなされていることが一般的です。
このように役割が明確に分かれていれば当然、負っている責任の重さは異なります。
したがって、常勤の医師が非常勤の医師より高い給与を得ているということ自体は、問題のない取り扱いだと考えられます。
これは教育現場においても同様です。
担任の先生と、講師の先生がいらっしゃるかと思います。
担任の先生は、自分の受け持つクラス、そして一人ひとりの生徒と向き合いながら、生徒の人生に関わるさまざまな教育を担っています。
一方、講師の先生は、担当する教科をしっかりと教えるということに責任の中心があります。
同じ「教師」という職種であっても、担っている責任の内容は異なるのです。
このように、それぞれの職種における責任の内容を丁寧に棚卸しし、「同じ職種であっても、この方にはこのような責任がある」「この方にはその責任がない」ということを明確にしておくことが大切です。
責任の棚卸しをしっかりと行うことによって、賃金格差やその他の労働条件の格差についても、合理的なものとして許容される可能性が高くなります。
ぜひ、こうした「責任の棚卸し」という視点を意識しながら、労働条件の設定についてご検討いただければと思います。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

