飲食店の労務管理の落とし穴〜社会保険適用とシフト管理の重要性〜
1.はじめに
飲食店は、パートやアルバイトを多く活用する職場です。
その特性ゆえに、労務管理において見落とされがちな落とし穴が存在します。
今回は、特に重要な「社会保険の適用」と「シフト管理」についてお伝えします。
2.知らないうちに生じる社会保険の加入義務
雇用契約を締結した時点では、契約内容に沿って適切に運用できていても、実際の現場では想定外のことが起こりがちです。
優秀なスタッフが活躍するうちに徐々に労働時間が増え、気づかないまま雇用契約書に定めた労働時間より多く働くようになってしまうケースは少なくありません。
このような状況が生じると、社会保険の加入義務に関する問題が浮上します。
一定規模以上の事業所においては、週20時間以上勤務する従業員は社会保険への加入が必要です。
また、規模の小さい事業所であっても、概ね週30時間以上勤務する従業員は同様に加入義務が生じます。
本来であれば加入すべき状態になっていたにもかかわらず、手続きが行われていなかった。
こうした事例は、飲食業界において決して珍しくありません。
3.シフト管理が労務管理の要
こうしたトラブルを防ぐためには、シフト管理を徹底することが不可欠です。
各スタッフについて「週何時間以内に抑えるべきか」を明確に把握したうえで、シフトを組む必要があります。
また、「社会保険の適用外の範囲で働きたい」「税金の扶養の範囲内で働きたい」という希望を持つスタッフが、繁忙期(例えば12月など)に労働時間の上限に達してしまい、それ以降シフトに入れなくなるという事態も起こりえます。
これは会社にとっても、従業員にとっても望ましくない結果です。
年間を通じた労働時間の見通しを立て、計画的にシフトを管理することが、適切な労務管理の基本となります。
飲食店における労務管理は、社会保険の適用ルールとシフト管理の両面をしっかりと押さえることが重要です。
日々の運用の中で見落としが生じないよう、定期的な確認を心がけてください。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

