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人事・労務の知識

「壁」とは何か?税と社会保障の仕組みをわかりやすく解説

税金や社会保険に関する「壁」について、様々なご質問・ご意見をいただいておりますので、整理してわかりやすくお伝えします。

「壁」の本質的な意味
「壁」とは、一言で表すならば「一人前になるかどうかの境界線」です。
壁を超えた時点で、税金や社会保険の対象として扱われる、つまり社会的に「一人前の働き手」として認められるということを意味しています。

1.代表的な「壁」の考え方
①178万円の壁(所得税)
本来、働いて収入を得た場合には所得税を納めていただく必要があります。
しかし、178万円未満の収入については「働いたことに含めない」とみなす、つまり課税対象としない制度となっています。
178万円を超えた場合は、所得税を納めていただく仕組みです。

②110万円の壁(贈与税)
お年玉は贈与税の対象となりますが、110万円までは課税しないというルールが設けられています。
お年玉のような少額の贈り物にまで課税することは実態にそぐわないという考え方が背景にあります。

③週20時間の壁(雇用保険)
週20時間以上働く方は雇用保険への加入が義務付けられています。
これは、一定以上の時間働いている方が失業した際に、雇用保険というセーフティネットで生活を保障するという考え方に基づいています。

2.「壁」の整合性が重要な理由
現状では、これらの壁がそれぞれ異なる基準で設定されており、制度間の整合性が十分に取れているとは言えません。
「日本として、一人前の働き手とはどのような状態か」という基準を統一的に定め、各制度が一貫した考え方のもとで設計されることが求められます。
壁の基準がバラバラなまま放置されると、制度全体の公平性や分かりやすさが損なわれてしまいます。
制度の整合性をしっかりと整えることが、今後の重要な課題であると考えます。​​​​​​​​​​​​​​​​

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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