KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

新入社員への有給休暇「前倒し付与」で注意すべきこと

1.有給休暇の原則的な発生タイミング
年次有給休暇は、入社から6ヶ月が経過した時点で原則として発生します。

2.前倒し付与とは
「入社後6ヶ月間は有給休暇が使えないのはかわいそう」という配慮から、本来6ヶ月後に付与される10労働日のうち、たとえば2労働日を入社時点で先行して付与する運用を採用している企業があります。
これが「前倒し付与」と呼ばれる制度です。

3.前倒し付与における注意点
この前倒し付与には、見落としがちな重要な注意点があります。
次回の有給休暇発生日(基準日)がずれてしまうという点です。
通常であれば、入社6ヶ月後に10労働日を付与し、そこから1年後に11労働日が新たに発生します。
しかし前倒しで付与した場合、「付与した日」から起算して1年後に次回の有給休暇が発生することになります。

具体的には、以下のような状況が生じます。

– 入社時(前倒し):2労働日付与
– 入社6ヶ月後:10労働日発生
– 入社後(前倒し付与日から)1年後:さらに11労働日が発生

つまり、前倒し付与を行うと、想定よりも早いタイミングで次回の有給休暇が発生し、結果として付与日数が増えてしまう可能性があります。

4.まとめ
新入社員への有給休暇の前倒し付与は、従業員への配慮として有効な制度です。
一方で、次回付与のタイミングに影響を与えるという点を十分に理解したうえで運用することが重要です。
導入を検討されている場合は、ぜひこの点に注意して制度設計を行ってください。

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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