最低賃金上昇に伴う「手当て見直し」の必要性
1.はじめに
近年、最低賃金の引き上げや人手不足への対応により、基本給の水準が全体的に上昇しています。
この動きはご存知の方も多いかと思いますが、見落とされがちな課題があります。それが手当の見直しです。
2.手当の水準が「想定外の人件費増」を招く
役職手当などの各種手当は、かつての給与水準を前提に設計されたものです。
しかし、基本給が上昇した現在もその水準のままであると、手当が加算された際の月収が当初の想定を大きく上回るケースが発生しています。
実際にこうした問題についてのご相談も増えてきています。
3.給与体系を「階段全体」で見直す視点を
特に注目すべきは、新卒採用時の初任給が高くなっている点です。
いわば「階段の1段目」が高くなっているため、昇給や手当の付与によって上がる「2段目・3段目・4段目」の水準も、自然と押し上げられる構造になっています。
この状態を放置すると、企業の資金力が人件費の上昇に追いつかなくなるリスクがあります。
4.手当見直しのチェックポイント
給与体系を見直す際は、基本給だけでなく手当も同時に検討することが重要です。
具体的には以下の点を確認してください。
∙ その手当を受け取る時点での月収総額は適切か
∙ 現在の初任給水準を起点とした場合、上位等級の手当額は適正な差分になっているか
∙ 人件費総額が中長期的に企業の収益と見合っているか
5.まとめ
最低賃金の上昇は、給与体系全体の再設計を促すタイミングでもあります。手当を含めた給与体系を俯瞰的に見直し、持続可能な人件費構造を整えることが、今まさに求められています。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

