KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

ボーナス廃止の真実—「賃上げ」に惑わされないために—

1.はじめに
近年、ボーナス(賞与)を廃止または減額し、その分を月々の給与に振り分ける「賞与の給与化」という動きが、大手企業を中心に広がっています。

2.賞与の給与化とは
賞与の給与化とは、これまで年2回などまとめて支給していたボーナスを廃止・減額し、その原資を毎月の給与に上乗せする仕組みです。企業側の背景としては、月額給与が高いほど求職者に選ばれやすいという採用戦略があります。

3.見落としがちな「年収ベース」の視点
月々の基本給が高く見えても、ボーナスが削減されていれば、年収ベースでは以前とほとんど変わらないケースも少なくありません。「月給〇〇万円」という数字だけに注目して転職・応募を判断してしまうと、実際の年収が期待を下回る結果になりかねません。求人情報を確認する際は、必ず年収ベースで比較することが重要です。

4.経営者が「賃上げ報道」に振り回されないために
現在、メディアでは「賃上げ」が盛んに報道されていますが、その内実が「賞与を削って月給を増やしているだけ」のケースも多く見受けられます。中小企業の経営者の方が賃上げの判断をされる際は、大手企業が賞与を含めた総額で処遇を引き上げているのか、それとも賞与を圧縮して月給に振り替えているだけなのかを正確に把握することが不可欠です。
賃上げ報道の表面的な数字に惑わされず、賞与を含めた年収全体の動向をしっかりと見極めたうえで、自社の給与制度に反映させていただくことをお勧めします。​​​​​​​​​​​​​​​​

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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