KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

手取り額で待遇を判断してはいけない理由

「手取りが多い=待遇が良い」と考えていませんか。
しかし、手取り額だけで会社の待遇を判断するのは適切ではありません。

たとえば、月給30万円に上がったとします。
一見すると「お給料が増えた」と感じますが、手取り額はさまざまな要素によって変わります。

まず、交通費です。
交通費は通勤距離によって金額が異なります。遠方から通勤している方は支給額が多くなりますが、その分ガソリン代や定期代がかかっています。交通費が多いからといって、生活水準が高いとは限りません。
結果として、交通費の金額によって手取り額が高く見えることもあります。

次に、所得税です。
扶養しているお子さんの人数などによって税額は変わります。
同じ給与額でも、家族構成によって手取りは異なります。

さらに、健康保険料や厚生年金保険料も影響します。
中には社会保険に加入していない会社もあり、その場合は保険料の控除がないため、手取りが多く見えることがあります。
しかし、この手取り額から国民健康保険料や国民年金保険料を支払いますので、実際に自由に使えるお金は低くなります。

また、40歳以上になると介護保険料が徴収されます。
年齢によっても手取り額は変動します。

住民税についても同様です。
入社時期によってはまだ控除が始まっていない場合もありますし、会社によっては特別徴収をしていないところもあります。
その場合、一時的に手取りが多く見えることがありますが、後で自分で納付しなければなりません。

このように、手取り額はさまざまな条件によって変わります。
「手取りが多い会社」を選んだとしても、後から自分で税金や保険料を支払わなければならないケースもあります。

一方で、手取りが少なく見えても、社宅制度や昼食補助などが充実しており、生活全体で見ると実質的な負担が軽い会社もあります。

大切なのは、
・総支給額はいくらか
・何が控除されているのか
・会社がどこまで社会保険を整備しているのか

これらをしっかり確認することです。

手取り額だけに左右されず、自分が本当にいくら受け取り、どのような保障を得ているのかを理解したうえで、賃金額や待遇を判断することをおすすめいたします。

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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