国が賃上げを約束するという誤解 ― 本当にできる政策とは何か―
「賃上げを国が約束する」事はできるのでしょうか。
そもそも国の政策とは「国民が幸せになること」を目的としているものであり、その実現方法は一つではありません。
国民の幸せとは何かと考えると、そこにはさまざまな価値観があります。
生きがいをもてること、人とのつながりを感じられること等これらは多くの方にとって幸せの要素でしょう。
一方で、お金がなければ生活は成り立ちません。
旅行をすることも、余暇を楽しむことも難しくなります。
その意味で、お金は生活の基盤として非常に重要な要素です。
そう考えると、「自由に使えるお金を増やすこと」は、国民の幸せにつながる重要なテーマだと言えます。
では、その自由に使えるお金を増やすためには、どのような方法があるのでしょうか。
個人であれば、投資を行うことや、支出を見直して節約をすることが考えられます。
企業においても、賃金を引き上げようと懸命に努力しているところは多いでしょう。
しかし、企業の賃上げには体力的な限界があります。どこまでも賃金を上げ続けることは、現実的には困難です。
では、政府にできることは何でしょうか。
それは「減税」です。
減税を行い、労働者の手取りを増やす、というのであれば、政府の役割として理解できます。
一方で、「国が賃上げを実現します」「賃上げを約束します」という表現は、現実的ではありません。
賃金を支払うのは政府ではなく、あくまで企業だからです。
政府が直接賃上げを行うことはできませんし、約束することも本来はできないのです。
だからこそ、私たちはこうした議論を正しく理解し、仕組みを把握する必要があります。
感情やイメージだけで判断するのではなく、「今、何が本当に必要なのか」を考えるための知識を持つことが大切です。
その判断力を身につけていただきたいという思いから、今回このテーマを取り上げました。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

