健康保険証とマイナンバーカードの一体化に関する現状と課題
現在、政府は健康保険証とマイナンバーカードの一本化を推進しており、社会保険労務士の立場からは「マイナ保険証」への切り替えを推奨しています。
しかし、従来の健康保険証の代わりとなる「資格確認書(黄色いカード)」を利用すれば、マイナ保険証がなくとも医療機関の受診は可能です。
実務の現場において、マイナ保険証への一本化が進まない背景には、主に以下のような懸念や背景があると考えられます。
1. 管理・紛失に対する不安
国はこれまで「マイナンバーは他人に知られてはならない」「マイナンバーカードは厳重に保管すべき」という広報を徹底してきました。その結果、特に保護者の間では、中学生などの子供が修学旅行や部活動の合宿などでカードを持ち歩くことに対し、「紛失」や「番号流出」への強い不安が生じています。
2. 「資格確認書」の選択
こうした不安から、あえてマイナンバーカードと紐付けを行わず、子供には「資格確認書」を持たせるという選択をする世帯が一定数存在します。カードを紛失した際のリスクを考慮すれば、こうした判断も一つの合理的な考え方と言えるでしょう。
3. 広報活動の影響と現実
実害の面では、マイナンバーそのものよりもクレジットカード番号等の流出の方がリスクが高いと個人的には思います。しかし、国が「個人番号の秘匿性」を強調してきた経緯がある以上、現在の保護者の方々の慎重な反応は、これまでの政府広報が浸透した結果とも言えます。
4.まとめ
マイナ保険証の普及が進む一方で、管理上のリスクを懸念し、あえてカードを持たせないという選択をする層が確実に存在します。これは、紛失時の重大性を認識しているからこその判断であり、現場の実感として無視できない現実です。マイナンバーだけでは個人情報を引き出す事ができないことを踏まえて、マイナンバーに対する考え方を整理する必要があると思います。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

