KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

役職手当の注意点

役職手当を支給している会社はたくさんあります。
役職手当の主旨からすると、会社の定めた一定の役職に就いている社員に対して支給しています。
役職が高くなれば金額も増えていき、役職が低くなれば金額は減っていく。
役職を外れれば当然役職手当がなくなる。
この様な運用をされているケースが多いと思います。

この役職手当で争われたケースがあります。
例えば部長にはこの金額の役職手当を支給します。課長にはこの金額の役職手当を支給します。
この様に定めている場合、役職が部長から課長に降格すれば当然金額も下がります。

しかし部長から降格になっても役職手当を下げることは違法であると判断されるケースがあるのです。

「部長の仕事はこの仕事」「課長の仕事はこの仕事」と明確に区分されていれば部長から課長に降格になった際には「この仕事をやらなくていい」「この責任は負わなくていい」という事がわかります。
しかし部長の仕事と課長の仕事の範囲が明確ではない場合、部長から課長に降格になっても業務量や責任は変わらないということがありうります。
この場合、役職手当は「役職」に対する手当ではなく、役職関係なくその人の属人的な能力に対する賃金であると判断されるケースがあります。
役職に対する対価というのは名ばかりで、属人的な能力に対する対価である賃金だから役職が変わっても支給することが当然でしょ。
この様に裁判所は判断する場合があります。
特に主任や係長といった役職の労働者、部下のいない部長や課長。
明確に役職に対する職責を説明できない場合には、役職を降格しても、役職手当を減給できないケースが想定されます。
役職の職責を明確にしとく必要がありますのでご注意ください。

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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