KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

金融機関が嫌う社会保険に未加入

金融機関は融資した債権を役所に差し押さえられることを嫌います。
融資が回収できなくなるわけですから当然と言えば当然です。

健康保険や厚生年金保険といった社会保険の未加入により何故差し押さえのリスクが高まるのでしょうか。

健康保険と厚生年金保険は労使折半で保険料を支払います。
従業員の給与から毎月3万円の保険料を控除していたとします。
月々の給与から控除されますのでこの保険料は支払えます。

しかし年金事務所の調査により未加入が発覚したとします。

健康保険と厚生年金保険の保険料の時効は2年です。
月々の保険料が3万円であると仮定すると24カ月分で72万円になってしまいます。
会社負担分と合わせると144万円が会社の金融機関口座から引き落とされてしまいます。
10人が該当したら1440万円になってしまいます。
結構な金額です。

72万円は本来従業員が負担すべき保険料です。
しかし72万円従業員に請求できますか?
仮に請求してもすぐに72万円会社に振り込んでくれる従業員は何人いるでしょうか。
10人いたら720万円です。

一括で支払うことが出来ず年金事務所が差し押さえしてしまうということもあるのです。

ですから社会保険に未加入というのは財務的に大きなリスクであり、差し押さえの可能性があるために金融機関が嫌うのです。

この様な観点から社会保険の未加入というのは非常に大きな経営上のリスクであると言えます。
しっかり対策をしていきましょう。

お気軽にご相談ください。

文責 特定社会保険労務士 山本法史

一覧