KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

旗本による知行地支配の実態—おすすめの一冊—

今日は、私が最近読んだ本をご紹介したいと思います。

私は歴史が大好きなのですが、今回ご紹介するのは『近世旗本領主支配と地域社会』という本です。

非常にマニアックな内容ではありますが、大変興味深い一冊でした。

「大名」と聞くと、皆さんも領地を持ち、そこを支配しているというイメージが自然と浮かぶかと思います。
一方で、大名には満たない一万石に満たない武士たち、いわゆる「旗本」や「御家人」と呼ばれる方々もいました。
江戸時代のこうした旗本、しかも決して大きくはない旗本が、自分の領地をどのように支配していたのかという点に興味を持ち、この本を手に取りました。
面白かったのは、旗本が自分の家臣に領地を直接支配させるのではなく、その土地の名主など、地元の有力者に領地支配を委任するという仕組みが取られていた点です。
旗本の家臣は江戸にとどまり、実際に支配している地域では、名主のような方々に領地を支配する為にそれなりの権限を与えて統治を任せていたというのは、なかなか興味深い発見でした。
要するに、少ない人員でいかに領地を適切に統治していくかという工夫がよくわかる一冊です。
さらに、そうした支配地域に住む農民から苗字帯刀を許され、武士として取り立てられる人物が現れたり、また旗本が目付などの役職に昇進する際には、その時に限って領地の農民が武士の身分として職務を手伝ったりするといった実態も、詳しく描かれています。
このように、江戸時代の農村に暮らす人々は、時に武士として、時に農民として活動していたということがよく分かります。
士農工商という厳格な身分があると思われていますが、実際にはこのような緩やかな制度もあったわけです。
江戸時代とはどのような時代だったのかを思い浮かべるうえで、この本は非常に興味深い視点を与えてくれます。
読み応えのある一冊ですが、ぜひ皆さんも手に取ってみてください。

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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