能力不足の有期雇用社員を、契約期間満了で退職させてよいか
「能力がやや不足している社員がいるのですが、有期雇用契約なので、契約期間満了のタイミングで退職してもらってよいでしょうか」というご質問を、よくいただきます。
結論から申し上げますと、有期雇用契約であっても、今後も更新されることが前提となっているような場合には、労働者側に「更新されるだろう」という期待が生じます。
この期待は、法的に保護されるべき権利として扱われます。
期待権といわれるものです。
そのため、更新が前提となっているような契約においては、「契約期間が満了したので退職していただきます」ということを、しっかりとした合理的な理由なく行うことはできません。
一般的には解雇と同様の理由が必要となります。
「うちに合わないな」と感じる社員がいたとしても、契約期間満了という仕組みを利用して自動的に契約を終了させるということは、日本の労働法制のもとでは認められません。
「うちに合っていないのではないか、このまま雇用を続けることがお互いにとって不幸な結果につながるのではないか」そのように感じる場合であっても、まずはしっかりと本人と向き合い、話し合いの場を持つことが必要です。
そのうえで、お互いが納得できる形を探り、合意のうえで契約終了に至るというプロセスを踏んでいただく必要があります。
「有期雇用だから、契約期間満了で簡単に終了できる」という発想は日本の労働法制ではありません。
この点を十分に踏まえたうえで、有期雇用契約の締結・更新・終了に臨んでいただければと思います。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

