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人事・労務の知識

年間休日数を増やすと残業が増える?働き方改革の落とし穴

1.はじめに
働き方改革の一環として、年間休日数を増やす取り組みを進めている企業が増えています。
しかし、休日数を増やすことで、かえって残業が増えてしまうというケースがあることをご存知でしょうか。

2.なぜ休日数を増やすと残業が増えるのか
年間休日数を増やしても、仕事の総量は変わりません。
そのため、1日あたりにこなさなければならない業務量が自然と増加します。その結果、「休日は増えたのに残業も増えてしまった」という状況に陥りやすくなります。

3.労働基準監督署の判断基準に潜む問題
労働基準監督署の調査では、主に残業時間や休日出勤の多寡によって労働環境が評価されます。
残業や休日出勤が多ければ、削減するよう指導が入る仕組みです。
ここに見落とされがちな視点があります。
たとえば、年間休日105日の会社と120日の会社を比較した場合、以下のような逆転現象が起こり得ます。

∙ 年間休日120日の会社:残業は多いが、年間総労働時間はさほど長くない
∙ 年間休日105日の会社:残業は少なく見えるが、年間総労働時間は実際には長い

このように、残業時間だけを切り取って評価する現行の基準では、実態を正確に把握できないケースがあります。

4.休日数の設定で重要なこと
休日数を増やすこと自体は、働き方改革として意義のある取り組みです。
しかし、業務量の見直しや効率化を並行して進めなければ、残業増加という本末転倒な結果を招いてしまいます。
休日数の設定にあたっては、年間総労働時間を軸に据えた上で、業務量との兼ね合いを十分に検討することが重要です。
表面的な数字だけにとらわれず、実態に即した労務管理を心がけていただければと思います。​​​​​​​​​​​​​​​​

文責 特定社会保険労務士 山本法史

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