KNOWLEDGE OF PERSONNEL AND LABOR

人事・労務の知識

役職手当の減額は慎重に―「職務の明確さ」の重要性―

1.はじめに
役職手当を支給している会社は多くあります。
部長・課長・係長・主任といった役職ごとに金額を設定しているケースは珍しくありません。
では、部長から課長へ、あるいは課長から平社員へと降格した場合、役職手当を減額または廃止することは問題ないのでしょうか。

2.職務が明確であれば、手当の減額等は認められやすい
各役職の職務内容が明確に定義されており、降格によってその職務を担わなくなる場合には、役職手当を変更しても問題ないとされるケースが多いです。
「課長はこういう仕事をする」「係長はこういう仕事をする」と明確に定まっていて、降格に伴いその職務がなくなるのであれば、手当の減額は合理的と判断されやすくなります。
職務が曖昧な場合は、手当の減額が認められないことがあります。
一方、課長や係長の職務内容が明確でない場合や、部下のいない管理職(いわゆる「名ばかり管理職」)の場合は注意が必要です。
裁判所はこのようなケースについて、「その肩書きに対して給与を払っていたのではなく、その人が持つ能力・属人的な要素に対して給与を払っていた」と判断することがあります。
つまり、肩書きはあくまで便宜上与えられたものに過ぎず、降格を理由に給与を下げることは不当だという考え方です。

3.実務上のポイント
役職手当を適切に運用するためには、以下の点を整備しておくことが重要です。
∙ 各役職の職務内容・責任・権限を就業規則や職務規程で明確に定める
∙ 役職手当が職務の対価であることを明示する
∙ 降格時に職務がどのように変わるかを、本人に明確に説明できる状態にしておく

役職手当は、単なる肩書きに対する報酬ではなく、職務と責任に対する対価として設計・運用することが、トラブル防止の観点からも重要です。
制度の見直しを行う際は、ぜひこの点を意識してみてください。​​​​​​​​​​​​​​​​

文責 特定社会保険労務士 山本法史

一覧