公的年金制度の目的とは何か ― 生活保護との関係から考える ―
公的年金制度の目的の一つは、生活保護の増加を抑制することにあります。
「アリとキリギリス」の寓話をご存じの方も多いと思います。
コツコツと蓄えをし、冬に備えて努力を続けるアリと、その日暮らしで過ごし、冬になると生活に困るキリギリスの物語です。
この話は、公的年金制度を考える上でも参考になります。
日本はセーフティネットが充実している国です。
仮に若い頃に十分な蓄えをしてこなかった場合でも、生活保護をはじめとするさまざまな制度によって、最低限の生活を維持することが可能です。
しかし、ここで問題となるのが公平性です。
現役時代に努力し、将来に備えてきた人と、そうでない人とが、結果として同じ水準の保障を受けることになれば、不公平だと感じる人も出てきます。
そこで設けられているのが公的年金制度です。
年金は、国が制度として強制的に保険料を徴収し、老後に給付する仕組みです。いわば「強制的な貯蓄」として機能しています。
現役世代が保険料を負担することで、老後に一定の年金を受け取ることができる仕組みです。
この制度があることで、高齢期における最低限の生活が保障され、結果として生活保護に頼らざるを得ない人を減らす効果が期待されています
。公的年金は、贅沢な生活を保障するものではありませんが、最低限度の生活を支える基盤となる制度です。
より高い生活水準を望むのであれば、自助努力による貯蓄や資産形成が必要になります。
しかし、社会全体として最低限の生活を確保するための仕組みとして、公的年金制度は重要な役割を果たしています。
ぜひ、正しい知識をもとに、公的年金制度について改めて考えていただければと思います。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

