サービス業における労働生産性向上の課題と価値観の変革について
前にご紹介した話では、深刻な人手不足による機会損失が、日本のGDPを押し下げる要因となっている点について指摘した。
この問題は、日本の労働生産性の低さに起因しているという議論があるが、その背景には日本独自の「サービスに対する対価」への意識が大きく影響している。
日本社会には、形のないサービスに対して対価を支払う習慣が希薄である。
例えば、Amazonの配送サービスにおいて、注文当日に商品が届くという高付加価値なサービスが「送料無料」として提供されていることが挙げられる。
また、専門職への相談についても同様だ。
医師の友人に健康相談をする際、その知識や経験には本来高い価値があるにもかかわらず、「原価がかかっていないのだから無料でも構わないだろう」という心理が働きやすい。
これは士業(専門職)全般に言える課題である。
たとえ原材料費などの原価が見えにくいサービスであっても、その背景にある経験や知識に対して正当な対価を支払うべきである。
日本人がサービスの本質的な価値を認め、それに見合うコストを負担するよう価値観を根本から変革していくことこそが、サービス業の労働生産性を向上させ、ひいては人手不足の解消につながる不可欠なプロセスである。
文責 特定社会保険労務士 山本法史

